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8年度開催結果


1996年 作文の部<中学生部門>入賞作品
科学技術庁長官賞

「虹色に輝く星」
富山市立三成中学校2年  杉木 貴文
 
 「ただ今、左手に見えるのが冥王星です。」
 我々の乗った宇宙偵察用ロケット”Xプラネット“がまもなく太陽系を離れようとしています。
 こうして我々の宇宙偵察の旅行は始まりました。現在の地球には、自然破壊、大気汚染、人口増加による食糧不足、ゴミ問題、エネルギー問題などたくさんの問題があります。その問題を解決するため、ある惑星を視察するのが目的です。百人を越す科学者や一般の人々が乗っています。出発前、それらの人々の間で、激しい議論がありました。地球をすてて移住するか。あるいは今から行く星を参考にして地球をよみがえらせるか。結論は出ませんでした。

 「ただ今から、ワープ航行に移ります。シートベルトを締めてください。」
 ここから先二光年、全く先に星のない直線です。地球で言えばさながら高速道路かな。そういうときはワープ航行を使います。他にもこの”Xプラネット“には超ハイテク技術が満載です。光速よりも速く飛行できるタキオンエンジン、快適な飛行をするための重力発生装置、たくさんの食料を確保するためのバイオ農園などなど。
 暗黒の宇宙で迷子にならないかって?
 心配ご無用。宇宙の中にある明るい恒星を宇宙の灯台とした宇宙地図があるのです。今のところ宇宙望遠鏡のおかげで百万光年先まで完成しています。

 我々の目指す星が見えてきました。ケンタウルス座のアルファ星にある惑星です。この星は、宇宙望遠鏡の調査の結果、生物反応が確認されています。望遠鏡でみるときれいな虹色に輝く星です。きっと人類を救うヒントがあるはずです。
 「ただ今から着陸体勢に入ります。」
 「キュゥウーーン…プシューーン。」
 今から人類の運命をかけた偵察が始まります。

-調査結果-
 この星では二酸化炭素を炭素と酸素に分解する微生物が存在します。炭素は植物の栄養分にし、酸素は動物の呼吸に利用しているのです。
 驚いたことに、なんとこの星では、動物、植物との会話が可能なのです。植物が何を考えどうして欲しいのかが分かるのです。それで、植物も意志をもつ知的生命体と考え、話し合うことで互いの気持ちを理解し合っているのです。当然むやみに採ったり、植えかえをしたり、殺したりもしません。それどころか、話し合いを通して互いを理解しているので、無視したり邪魔したりすることなく、思うがままに安心して生命を育んでいるのです。
 つぎに驚いたことは、気候や天気をコントロールできることです。常に快適かつ調和のとれた環境を保ちます。好きな所をいつでも晴や雨にすることもできます。また、植物に一番適した天候を作り出し、どんな作物でも地球時間で一ヶ月で成長します。この星には食糧不足の問題はありません。
 この星でのエネルギー源は光です。発電所ならぬ発光所が都市のど真ん中に建てられています。もちろん安全、しかもクリーン。そして各地に、光増幅装置があり、必要最低限の量で、最大のエネルギーを発生させることができます。あ、言い忘れてました。この星では、エネルギーはただです。

以上

 調査を終えたロケットの乗り組み員が全員中央ホールに集まりました。移住か、それとも地球の再生か。いろいろな意見が飛び交いました。
 「植物や動物とは話はできないが、この星のようにそれらを理解し、いたわることは我々の地球でもできることだ。」
 「もうとりかえしはつかない。地球の再生は不可能だ。この星に移住しよう。」
 「科学技術がここまで発達するまで地球がもつだろうか。」

 ようやく結論がでました。
 「この星のように、我々も新たな地球をきっと作れるはずだ。もどろう。」

 Xプラネットは静かに離陸を開始しました。


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